
ウォシュレット※(温水洗浄便座)を選ぶとき、必ず出てくるのが「貯湯式」と「瞬間式」という2つのタイプです。聞いたことはあっても、実際の違いを詳しくご存じない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は貯湯式と瞬間式はどう違うのか、メリット・デメリットを踏まえてご説明させていただきます。トイレを購入される際にぜひご活用ください。
※「ウォシュレット」はTOTO株式会社の登録商標です。
ウォシュレットの貯湯式と瞬間式の特徴
ウォシュレット(温水洗浄便座)貯湯式 ―
あらかじめ温めたお湯を使う
温水洗浄便座の貯湯式は、その名のとおりタンクにお湯を貯めて保温しておく仕組みです。リモコンや操作パネルのボタンを押した瞬間から温水が使えるのが大きなメリットです。また構造がシンプルなため本体価格が比較的安く、温水洗浄便座の瞬間式と比べて2〜3万円ほど安い製品もあります。初期費用を抑えたい方には向いている方式です。
一方で、タンク内のお湯を使い切ると「お湯切れ」となり、再加熱が終わるまで待たなければなりません。さらに常にお湯を一定温度に保つ必要があるため、待機電力がかかりやすく、長期的には電気代が高くなる傾向があります。
また、タンクを内蔵している分サイズや重量がやや大きくなりがちです。給水や再加熱のサイクル時に音が気になる場合もあります。

ウォシュレット(温水洗浄便座)瞬間式 ―
必要なときだけ瞬時に温める
温水洗浄便座の瞬間式は、水を使うタイミングでその場で加熱する仕組みです。タンクが不要なので、便座まわりがコンパクトでスッキリします。常にお湯を保温しておく必要がないため、待機電力がかからず、電気代は温水洗浄便座の貯湯式よりも抑えられます。また、お湯切れの心配がないのも大きなメリットです。
一方で、使い始めるときに数秒だけお湯が温まるのを待つ必要があります。さらに本体価格は貯湯式より高めで、導入コストがかかる傾向にあります。ただし、その分便利な機能やデザイン性に優れたモデルも多く見られます。

貯湯式と瞬間式の比較
ウォシュレット 貯湯式 |
ウォシュレット 瞬間式 |
|
仕組み | タンクにお湯を貯めて保温し、使うときに供給 | 水を使うタイミングで瞬時に加熱 |
お湯切れ | タンクのお湯がなくなると発生 | 必要な分だけ加熱するのでなし |
電気代 | 常に保温するため高め | 比較的安い(省エネ) |
サイズ | タンク分のスペースが必要 | タンク不要でコンパクト設計 |
使い勝手 | ボタンを押すとすぐに温水が出る | 温まるまで数秒かかる場合あり |
選び方の目安 | ・本体価格を抑えたい ・すぐに温水が欲しい |
・電気代を抑えたい ・長時間使う ・最新モデル重視 |
電気代・ランニングコストの考え方
貯湯式の温水洗浄便座は、タンク内のお湯を常に温めておく仕組みのため、待機中にも電力を使い続けます。そのため、使用回数が少ないご家庭では「保温のための固定費」の割合が大きくなり、電気代が割高に感じやすい傾向があります。
一方、瞬間式の温水洗浄便座は、お湯を必要なときだけ瞬間的に加熱するため、待機中の保温電力はほとんどかかりません。使用時には一時的に大きな電力を消費しますが、トータルで見ると省エネになりやすい方式です。
経済産業省の資源エネルギー庁が発行する「省エネ性能カタログ電子版アーカイブ」によると、各メーカーのウォシュレットを使った際の平均的な電気代は、以下のとおりです。
シリーズ名 | 区分 | 年間消費電力量 (kWh/年)※1 |
1ヵ月の電気料金 (円/月) |
年間の電気料金 (円/年) |
|
TOTO | GGシリーズ | 貯湯式 | 163~165 | 421~426 | 5,053~5,115 |
GGAシリーズ | 瞬間式 | 83~84 | 214~217 | 2,573~2,604 | |
ネオレスト | 瞬間式 | 75~108 | 193~279 | 2,325~3,348 | |
LIXIL | プレアス | 貯湯式 | 176 | 454 | 5,456 |
サティス | 瞬間式 | 114~115 | 294~297 | 3,534~3,565 | |
アメージュ シャワートイレ |
貯湯式 | 178 | 459 | 5,518 | |
Panasonic | アラウーノS160 | 貯湯式 | 173 | 446 | 5,363 |
NEW アラウーノV | 貯湯式 | 156 | 403 | 4,836 | |
アラウーノL150 | 瞬間式 | 70 | 180 | 2,170 |
※公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会に基づき、目安として単価31円/kWh(税込)として試算しています。
参考:公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会
参考:省エネ性能カタログ電子版アーカイブ
※1:省エネラベリング制度・年間消費電力量節電機能を使用した場合の数値です。
まとめ
温水洗浄便座には「貯湯式」と「瞬間式」の2つのタイプがあり、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。初期費用を抑えたい方やシンプルな機能で十分という方にはウォシュレット 貯湯式が向いています。
一方で、電気代をできるだけ節約したい方や快適さ・デザイン性を重視する方にはウォシュレット 瞬間式がおすすめです。
ご家庭の使用頻度や重視するポイント(価格・省エネ・快適さ)に合わせて選ぶことで、長く満足できるトイレ空間を実現できます。
「どちらが自分の家庭に合っているか」を考えながら、商品ラインアップを見比べてみてください。きっとピッタリの温水洗浄便座が見つかります。