水道水を汚染する「PFAS（ピーファス）」とは？その正体と懸念される影響について

最近よく耳にする「PFAS（ピーファス）」をご存じですか？健康や環境への影響が心配され、ニュースでも取り上げられています。
PFASとは、炭素とフッ素からできている人工の化学物質のグループで、「ペルフルオロアルキル化合物」と「ポリフルオロアルキル化合物」のことを指します。分類方法によって数は変わりますが、1万種類以上もあると考えられています。
PFASは構造によって性質が違いますが、共通して非常に壊れにくい性質を持っています。炭素とフッ素の結びつきがとても強く、水や光、微生物、体内の代謝でも分解されにくいのが特徴です。
そのため、環境中で分解されにくく、土壌に残ったPFASが水道水汚染を起こしていることが近年明らかになってきました。
本記事では、PFASが体内に取り込まれる経路や人体への影響、さらにPFASの除去に有効とされる浄水器などについて詳しくご紹介します。

油や水をはじく性質「PFAS」とは

PFASは油や水をはじく性質を持っており、これによりさまざまな産業分野で利用されています。フライパンや撥水スプレーなど、私たちの身の回りの製品にはフッ素でコーティングされたものがあります。たとえば、フッ素加工のフライパンやフッ素系の撥水剤などです。

PFASの中でも特にPFOS（ピーフォス）とPFOA（ピーフォア）は、以前から多くの製品に使われてきました。しかし、これらは分解されにくく、体内にたまりやすく、遠くまで広がりやすい性質があるため、日本では規制やリスク管理の対象になっています。

※引用：環境省今でも身の回りの製品中にPFOS等が含まれているのか

体内に取り込まれる経路について

人がPFASにさらされる主な経路としては、食べ物や飲み物のほかに、食品の包装、空気中のほこり、カーペットや衣類などが考えられます。ただし、海外の調査によると、地域や生活環境によって差はあるものの、最も大きな影響は「食事」からの摂取だとされています。

※引用：環境省 PFASはどのような経路で体内に取り込まれるのか

人体への影響について

現在わかっている科学的な情報にもとづいて、食品安全委員会は、PFOSとPFOAという2つのPFASについて、「耐容一日摂取量（TDI）※1」を決めました。
PFOSとPFOAのTDIは、それぞれ20ng/kg 体重/日※2とされ、たとえば体重50kgの人なら、1日あたり1,000ナノグラム（＝1マイクログラム）までが安全とされます。

また、いくつかのPFASがまとめて体に入ったときの影響（複合ばく露）については、ほとんど情報がないため、現時点では個別の物質ごとに評価するのが適切とされています。将来、科学的なデータがもっとそろえば、TDIの見直しが行われる可能性もあります。

PFOSやPFOAに関しては、世界保健機関（WHO）のがん研究機関（IARC）が、それぞれの発がん性に関する評価を行っています。日本の食品安全委員会も、IARCの報告などを参考に検討しましたが、「がんとの関係からTDIを決めるには、今のところ情報が足りない」と結論づけました。

具体的には、PFOAについての人の研究（疫学研究）では、がんとの関連があるかどうかはっきりしない結果になっており、PFOSについては証拠が不十分でした。どの程度取り込まれると人体に影響が現れるのかは、まだ明らかになっておりませんが、気をつけておきたいところです。

※1：TDIとは一生のあいだ毎日その量までなら食べても健康に悪影響が出ないと考えられる目安の量のことです。
※2：PFOSについては、ラットのこどもの体重増加抑制を、PFOAについては、マウスの胎児の足の骨の形成への影響等を、それぞれ指標値算出の根拠となる毒性として採用した上で、実験動物とヒトの間の差、ヒトの個人差等を考慮した不確実係数を乗じています。
※引用：環境省 PFASはどれだけ取り込めば人体に有害なのか

国内の規制について

日本では、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律（化審法）」に基づき、2010年にPFOSの製造および輸入が禁止されました。その後、2021年にはPFOA、2024年にはPFHxSについても、製造および輸入が原則として禁止されています。

環境省では、これらの物質がどのくらい自然環境に残っているかを調べる調査を2009年から続けています。全国の水や土、大気の中に含まれるPFOS・PFOAの濃度を測定した結果、年々減っている傾向が統計的に確認されました。魚の体内からも、検出される割合が減っていることがわかっており、環境中の濃度は全体的に下がってきていると考えられています。

基準値を超えていた都道府県

環境省は、PFOSやPFOAが日本の水環境にどのくらい存在しているのかを調べるため、令和元年度に全国調査を行いました。この調査では、PFOSやPFOAを出している可能性のある地域、施設の周辺など、全国171か所で水の検査を実施。その結果、13の都府県にある37か所で、国の暫定的な基準値（合計50ng/L）を超える値が検出されました。

基準値を超えたのはすべて飲み水として使われていない地下水や湧き水でしたが、念のため、環境省は地元の自治体に対して井戸の持ち主などに飲用を控えるよう注意喚起を行っています。

都道府県名	検出された市区町村名
埼玉県	本庄市
千葉県	白井市、柏市、市原市
東京都	立川市、国立市、練馬区、日野市、府中市、調布市、渋谷区、大田区
神奈川県	大和市、藤沢市
愛知県	名古屋市
三重県	四日市市
京都府	八幡市
大阪府	摂津市
兵庫県	神戸市、加西市
奈良県	生駒市
福岡県	築上町
大分県	大分市
沖縄県	沖縄市、宜野湾市、中頭郡

※引用：環境省環境中でのPFOS等の検出状況は
※引用：令和元年度PFOS及びPFOA全国存在状況把握調査結果一覧

水道水の影響について

2020年度から、水道水中のPFOS・PFOAが国の暫定目標値（50ng/L）に基づいて検査されるようになり、多くの水道事業者が検査を実施しています。2020年度には11の事業者が目標値を超えていましたが、対策が進み、2024年9月末時点では超過事業者はゼロとなりました。環境省と国土交通省は、まだ検査を行っていない事業者に対しても、検査の実施を呼びかけています。

PFASの一種であるPFOSおよびPFOAは、活性炭フィルターを備えた浄水器によって、ある程度除去することが可能です。TOTOやLIXILなどのメーカーでは、自社製の浄水カートリッジを用いて、第三者機関による除去性能試験を実施しており、いずれも基準である80％以上の除去率を達成しています。模倣品や互換品では、この基準を満たさない恐れがあるため、必ず正規品をお求めください。

当店では、TOTO、LIXIL、クリナップなどの各種浄水器および対応カートリッジを豊富に取り揃えております。すべて正規品となっておりますので、安心してご購入いただけます。

※引用：環境省水道の水は大丈夫か