空気を汚さず安全に使えるエアコンは、換気が不要だと考えられがちですが、実はエアコンも換気が必要です。
特に在宅テレワークで長時間エアコンを使用している場合は、自分自身の呼気による二酸化炭素濃度の上昇にも注意しないといけません。
そこで今回は、エアコンを運転しながら上手に換気をする方法や、エアコン換気にまつわる様々な疑問についてまとめました。
なぜエアコンも換気が必要なの?
一見きれいに見える空気も、実は様々な汚染物質を含んでいます。たとえば、ダニ、ホコリ、カビ、花粉、PM2.5、ホルムアルデヒド、細菌やウイルスなど。また、私たち自身の呼気による二酸化炭素も空気を汚す原因になります。
最近では、一部のエアコン製品において運転しながら換気ができるものもありますが、基本的にはエアコンに換気機能はありませんので、窓を開けるなどして換気をする必要があります。
在宅テレワークでエアコン使用時間が1.8倍に!
出典:ダイキン「コロナ禍の冬のエアコン使用実態に関する調査」
ダイキンが実施した調査によると、平日1日あたりのエアコン使用時間はコロナ禍前(2019年12月~2020年2月)とコロナ禍(2020年12月~2021年2月)との比較でおよそ1.45倍に増加。中でも週に3日以上在宅テレワークを行った人では、約1.8倍も増えていることが分かりました。
週3日以上在宅テレワークを行った人では、例年の約2シーズン分もエアコンを使用したことになります。
換気が必要な二酸化炭素濃度の基準とは?
人は呼吸によって二酸化炭素を吐き出しますので、換気の悪い室内では二酸化炭素濃度がどんどん高くなっていきます。
屋外の新鮮な空気の二酸化炭素濃度は410~420ppm程度(※1)とされており、室内の二酸化炭素濃度は1000ppm(※2)を超えないようにするというのが一つの基準となります。
二酸化炭素は少量なら人体に無害とされていますが、濃度が高くなると息苦しさや頭痛、倦怠感、眠気、耳鳴りといった様々な症状を引き起こす場合があります。そのため建築物衛生法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)では、室内の二酸化炭素濃度を1000ppm以下に保つことを定めているのです。
※1 出典:気象庁「二酸化炭素濃度の年平均値」
※2 出典:厚生労働省「室内空気質のための必要換気量」[PDF]
もし在宅テレワークをしていて上記のような症状が現れたら、室内の二酸化炭素濃度が上昇しているサインかもしれません。室内の二酸化炭素濃度を手軽に計測できる機器も販売されていますので、一つ持っておけば換気のタイミングが可視化されるので便利です。
室内の換気は「24時間換気システム」が有効
2003年7月以降に建てられた戸建住宅やマンションには「24時間換気システム」の設置が義務付けられています。
24時間換気システムとは、一日中窓を開けることなく外の新鮮な空気を取り入れ、室内の空気を排出する設備のことです。
換気がされないと家の建材や部材に含まれるホルムアルデヒドなどの化学物質やダニ・ホコリが家の中に留まり、シックハウス症候群などの原因になることから設置が義務付けられました。お住まいが2003年7月以降に建てられたものであるなら、自分で換気を行う必要はないと言えます。
ただし、それより前の建物にお住まいの場合や、24時間換気システムだけでは換気が不十分だと感じる場合は、窓を開ける等の「自然換気」を行う必要があります。
また、いくら24時間換気システムの設備があっても、正しく使わなければ意味がありません。電源がオフになっていないか、給気口や排気口が閉じていないか、家具などでふさがれていないか等を確認しましょう。
さらに、換気口のフィルターが汚れているときれいな空気が入ってこないので、半年に一度は掃除をすることをおすすめします。
エアコンを使いながら上手に換気する方法は?
せっかく暖房や冷房が効いている部屋の空気を入れ替えるのは、電気代の面から見てもなんだかもったいない気がしますよね。
そこで、なるべく冷気や暖気を逃さないように換気をする方法をご紹介します。
窓を2か所開けて風の通り道をつくる
自然換気を行う際は、2方向の窓を開けると風の通り道ができて、効率的に換気が行えます。できれば対角線上にある窓、あるいはドアを開けるのがベストです。
YKKAPが行った換気シミュレーションによると、窓を1か所しか開けなかった場合と対角線上に2か所開けた場合とでは、換気効果が約10倍も違うという結果が出ています。
1か所だけの場合だと空気が入れ替わるのに35分ほどかかったのに対し、2か所では4分弱で入れ替わったので、冷気や暖気をあまり逃さずに換気することが可能です。
参考:YKK AP株式会社「窓がポイント! 住まいのじょうずな換気方法」
窓を開けるときは、風が入ってくる方の窓を5~10cm程度開けて、風が出ていく方の窓を全開にするのがポイントです。風は狭いところから広いところへ流れるときに勢いが増すので、その性質をうまく活用することができます。
サーキュレーターを併用して空気の流れをつくる
対角線上に窓があればベストですが、もし窓が一つしかない場合はサーキュレーターを使って空気の流れを作ると良いでしょう。
サーキュレーターはお部屋の空気を循環させるために使うもので、体に直接風を当てて涼をとる扇風機とは役割が違います。
換気のために窓を開けたら、サーキュレーターを窓の方に向けて運転します。こうすることで強制的にお部屋の空気を屋外に押し出し、効率的に換気をすることができます。
また、エアコンと一緒にサーキュレーターを使えば、お部屋を効率的に冷やしたり暖めたりすることも可能。冷房のときはエアコンの風が吹き下りる場所にサーキュレーターをエアコンに背中を向けるようにして設置すれば、サーキュレーターがエアコンの冷気を吸い込み、部屋全体にすばやく行き渡らせます。
暖房のときは暖かい空気がお部屋の上の方に溜まるので、エアコンから離れた位置にサーキュレーターを置き、天井に向けて運転します。天井付近の暖かい空気を循環させることで、お部屋をすばやく暖めることができます。
テレワーク中はサーキュレーターを上手に活用して、換気や節電に役立てましょう。
二段階換気で急激な室温の変化を和らげる
エアコン暖房で暖まった空気を逃さないように換気するには、人のいない部屋の窓を開けて、廊下などを経由してから新鮮な空気を人のいる部屋に取り入れる「二段階換気」がおすすめです。
このとき、完全に冷えてしまった部屋を再度暖めようとするとエアコンのエネルギーをたくさん使いますので、窓を開けている間もエアコン暖房はつけっぱなしにしておき、急激に室温が下がらないように注意しましょう。
運転しながら換気ができるエアコンを選ぶ
換気をしながら冷房や暖房運転ができるエアコンもあります。
ダイキンの「うるさらX」は、屋外の新鮮な空気を取り込み、熱交換器で適温に整えてからお部屋に届けることができるエアコンです。さらに、お部屋の熱気や不快な空気、エアコン内部の湿気も排出できる「排気換気」機能を搭載。お部屋の空気をきれいにしながら、快適な温度にコントロールします。
ハイセンスも2022年モデルのエアコンから、換気しながら運転できる「Gシリーズ」を発売しました。室外機が室外換気フィルターモジュールを通して新鮮な空気を取り込み、お部屋に届けます。換気風量は自動・低・強の3種類から選べます。
また、パナソニックも室外機に換気・除加湿ユニットを搭載した「エオリアLXシリーズ」を発売。冷暖房しながら外気をたっぷり取り込み、熱交換器で温度を調整してから室内に送り出します。
このように換気ができるエアコンなら、運転しながら換気をすることが可能です。
まとめ:エアコンも換気は必要です
エアコン使用中も換気が必要な理由と上手な換気方法についてご紹介しました。在宅テレワークで長時間エアコンを使っている方は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ意味でも、意識的に換気を行うようにしましょう。
24時間換気システムを正しく使うほか、換気しながら運転ができるエアコンに交換するのもおすすめです。
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