IHクッキングヒーターというと電磁波が不安、健康被害がないか気になる、という方がいらっしゃいます。こちらのページではIHクッキングヒーターの電磁波についてデータを交えてまとめておりますので、ご検討時の参考のひとつにしていただければ幸いです。
また加熱機器を選ぶ時の考え方についてもご紹介しておりますので、IHクッキングヒーターかガスコンロかを迷っていらっしゃる方も、ぜひ読んでみてください。
そもそも電磁波とは
電界、磁界が組み合わされたものが電磁波です。
電界は電気的な力がはたらく空間のこと。電圧がかかった物の周囲に発生するもので、プラスとマイナスがくっつく力と言い換えることもできます。磁界は磁気の力がはたらく空間のこと。N極とS極がくっつく力と言い換えることもできます。
電界、磁界は電気を使えば必ず発生しますし、自然界にも存在しています。
上の画像のように、電界は空に雷雲が発生した時、空と地上の間に生まれます。そしてコンパスの針が常に南北方向を指し示すのは、地球の磁界によるものです。
そして、電界と磁界が互いに影響し合いながら空間を光と同じ速さで伝わっていく波が電磁波と呼ばれるものです。電磁波には、太陽光線や電波、X線なども含まれます。
電磁波には種類がある
電磁波は空間を伝わる波の一種で、色々な光線や電波の総称です。その周波数毎に様々な名称で呼ばれています。
一部を挙げると
・光(紫外線や赤外線などに、さらに分かれます)
・電波(マイクロ波や超短波などに、さらに分かれます)
・放射線(ガンマ線やX線などに、さらに分かれます)
・電磁界(電力設備(送電線など)等から発生する電磁波。周波数が非常に低く、波として考える必要がないため電磁界と呼ばれます)
上記の例からも分かるように、電磁波にも色々な種類があるのです。
また、電磁波の一種である紫外線はビタミンDの体内合成に寄与しますが、浴びすぎると角膜炎や皮膚がん等の健康被害につながるとされており、有益な面と害になる面の両方を持ち合わせています。「電磁波は健康被害を引き起こす」という記載だけだと、何を指し示すか曖昧なことがある点には注意が必要でしょう。
電磁波の人体への影響、健康被害
電磁波の人体への影響、健康被害については、インターネット上でも様々な議論が交わされています。
ひとつの指針として参考になるのは、WHOが正式に認知している「国際⾮電離放射線防護委員会(ICNIRP)」という⾮政府機関により公表されているガイドラインでしょう。このガイドラインは、電磁波によって引き起こされる神経や組織への刺激作用に対し、十分に余裕があるものです。
また総務省からは「国際的なガイドラインを下回る強さの電波により、健康に悪影響が発生する証拠はありません」という公的見解が示されています※。
参考:国際⾮電離放射線防護委員会 ガイドライン、ステートメントほか
電磁波による健康への影響についての国際的評価は、短期的影響は国際的なガイドラインを守っていれば問題なく、長期的影響は科学的証拠が不十分であるというものです。
ですが無害である、健康被害はない、といった断言はされていませんから、心配だと思われる方、IHクッキングヒーターに対し不安感を抱く方がいるのも自然なことでしょう。
調理機器は日々の暮らしに密着したもので、毎日お料理をするという方は加熱機器・コンロのそばで長い時間を過ごすことになります。本コラムもひとつの参考にしていただいた上で、ご自身が安心して使えると感じられる加熱機器をお選びいただくことをおすすめします。
なお当店では、ビルトインIHクッキングヒーターだけでなく、ビルトインガスコンロもお取扱いしております。どちらをお選びになっても工事までワンストップでお任せいただけますので、まずは簡単にできる無料見積にてお問い合わせくださいませ。
IHクッキングヒーターの電磁波の大きさについて知る
IHクッキングヒーターが電磁波を発生させるものである。ということは知っていても、その電磁波の量についてはご存知でしょうか?IHクッキングヒーターの電磁波は、他の家電製品と比較して、特別注意しなければいけないほど強いのでしょうか。
一般財団法人家電製品協会サイトを参考に、主だった家電製品の電磁波量をまとめました。
国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の基準は200μT(マイクロテスラ。磁界の強さを表す単位としてよく使用されます)。協会サイトでは、いずれの機器においても国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の基準200マイクロテスラを超えるものはなかったとの結果記載があります。
家電製品から発せられる電磁波測定(10Hz~400kHz)調査グラフ抜粋
冷蔵庫や電子レンジ、液晶等50Hz・60Hzのものでは200マイクロテスラが基準値となっています。
IHクッキングヒーターも通電時はこちらになりますが、グラフでは加熱コイルで周波数が約20kHz~90kHzの電磁界(中間周波電磁界)を発生させる機器として計測されています。こちらは27マイクロテスラが基準値です。
上のグラフからも分かるとおり、数値の揺れはあるようですが、いずれの機器でも基準値を大きく下回る結果となっています。
また、IHクッキングヒーター(IH調理器)は他の機器と比較した時、突出して大きな数値を出すわけではないということも読み取れます。
電磁波以外の様々な観点から検討する
IHクッキングヒーターの電磁波についてまとめましたが、加熱機器を購入する際、電磁波以外の要素も考え合わせて決めたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
IHクッキングヒーターをお求めのお客様がポイントとされる理由から、いくつかご紹介します。多角的な視点から考えることで、より後悔のないお買い物ができるでしょう。
IHクッキングヒーターの特性から考える
IHクッキングヒーターは、炎を使った加熱機器ではない点が大きな特徴。火災リスクが軽減される、炎による火傷を防げる、などはよく聞く利点です。
また日々の利用シーンにおいても炎を使用しないメリットを感じる方は多く、例えば「ガスコンロを使っていた頃、火で服の袖を焦がしてしまった。IHクッキングヒーターなら炎が上がらないから安心して使える」といったお声もあります。
掃除の観点から考える
ガスコンロとは異なり、IHクッキングヒーターは鍋を置く五徳がないこと、天板がフラットなこともメリットとして挙げられる点。複雑な形をした五徳のお手入れ時間がなくなることや、天板の拭き掃除のしやすさを喜ばれる方は多いようです。
クッキングヒーター例
ガスコンロ例
万一の災害から考える
地震などの災害が発生し被災した場合の想定からIHクッキングヒーターかガスコンロかを決める方もおられます。下記に東日本大震災と阪神・淡路大震災の電力、都市ガス復旧日数をまとめましたので、参考にしてみてください。
東日本大震災 (2011年3月11日発生) |
阪神・淡路大震災 (1995年1月17日発生) |
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電力復旧 までの日数 |
東京電力管内:8日程度 東北電力管内:99日程度※ |
6日程度(倒壊家屋等を除く) |
ガス(都市ガス) 復旧までの日数 |
54日程度(倒壊家屋等を除く) | 85日程度(地震・津波による家屋倒壊等が確認された戸数を除く) |
引用:東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会第1回会合 被害に関するデータ等(PDF)
※「復旧作業に着手可能な地域の停電はすべて復旧」引用:東北電力 緊急情報「東北地方太平洋沖地震に伴う停電について(最終報)」
また、東京都発行の防災ブック「東京防災」では、「東京都では、電力は7日、上下水道が30日、都市ガスは60日程度での復旧を目標にしています。」との記載があります。
災害は過去の事例が常に参考になるとは限らず、場合によっては電気よりも都市ガスの方が復旧が早い場合もありえます。ですが、IHクッキングヒーターかガスコンロかで迷っているなら、比較材料のひとつとしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
ここまで、電磁波というものについて、IHクッキングヒーターの電磁波について、それから電磁波以外の検討要素についてをまとめました。
電磁波が人体に与える影響については今後研究や技術開発が進み、現状では想定されていない状況となることも十分に考えられます。
この記事が、様々な角度からの検討をお助けし、ご自分の納得の行く機器交換を叶えていただく一助になれば幸いです。