
エコキュートを使用しはじめたら、低周波音により騒音問題で近隣トラブルに発展した…という話を聞いたことはないでしょうか。低周波音がなぜ問題になるのか、それを防ぐ方法はあるのか、エコキュートの騒音・低周波音問題について解説します。
エコキュートが出す音とは?
エコキュートが発する音は特別うるさいというわけではありません。通常、エコキュートの騒音は40dB程度と言われていて、これは「市内の深夜」「図書館」「静かな住宅地の昼」程度の音の大きさです。ちなみに家庭用クーラーの室外機や換気扇の騒音は50dBくらいです。
しかし、エコキュートで問題となるのはヒートポンプユニットから出る12.5Hz程度の低周波音です。低周波音とは文字どおり周波数の低い音のことで、とくに20Hz以下の音は超低周波音と呼ばれます。この帯域の音は相当に強い音圧でなければ通常、人の耳では知覚できませんが、人によっては不快に感じるなどの影響を受ける可能性があります。
エコキュートの低周波音が招くトラブル
具体的にエコキュートの低周波音が招くおそれのあるトラブルについてみてみましょう。
自身が不快な思いをする
エコキュートのヒートポンプユニットが発する低周波音で、設置した自分自身が不快な思いをすることがあります。昼間はそれほど気になることはないのですが、夜、低周波が発生し続けていると眠りにくくなることがあります。
睡眠に対する影響については、環境省が発表した資料によると、眠りが浅いときは10Hzで100dB、20Hzで95dB以上になると目が覚めることがあるという実験結果が報告されています。ほかにも低周波音が原因となって、身体が揺れているような感覚に陥る、頭痛がする、イライラするなどの症状が現れることがあるようです。
隣人からの苦情につながる
隣家に近い場所にエコキュートを設置していると、低周波の影響が隣家にまで及ぶことがあります。過去にエコキュートの低周波をめぐるトラブルで民事訴訟に発展したケースもあり、知らないうちに騒音問題の加害者になっていたということがないよう気をつける必要があります。
エコキュートの低周波音が招くトラブルを防止する方法
エコキュートの低周波によるトラブルは、しっかりと対策しておくことで回避できる可能性があります。対策のポイントをみていきましょう。
設置場所を工夫する
まず自宅や隣家の寝室の近く、窓、換気口の近くには設置しないようにします。低周波は音なので、なるべく家の中(とくに寝室)に届きづらい、離れた場所に設置するのが基本です。また壁に囲まれた狭い場所に設置すると音が反響してしまうことがあるので、できるだけ広い場所に設置するようにしましょう。そのような置き場所がないという場合でも、少し移動させたりファンの向きを変えたりするだけで音の伝わり方を変えることができます。
防音シート・防振ゴムを使う
防音シートや防振ゴムを壁に貼る、下に敷くなどすると音や振動が伝わるのを防げます。メーカーによっては室外機の本体カバーの内側にあらかじめ防音シートを貼ってあるものもあります。音が気になる場合は、天板などにプラスして防音シートを貼るという方法もあります。
防音壁を設置する
防音壁を設置するなら、コンクリート製などは音が反響して逆効果となるので、吸音効果の高い素材の壁で囲むことをおすすめします。また、エコキュートは熱交換を行うため、あまり狭い空間に設置することはメーカーが推奨していません。防音壁を作る際は専門業者に相談するようにしましょう。
エコキュートは低周波音を発生することがあるということをまずは認識しておきましょう。しかし、設置の際にしっかりとした対策をすれば、トラブルを未然に防げる可能性があります。また設置後に低周波が気になりはじめた場合でも、少し場所を移動したりグッズを使ったりすることで、改善することが可能です。